一昔前の老人ホームというと姥捨て山の様に思い浮かべる人もいるかもしれません。
実際、私の祖父母が入居していた老人ホームは寝たきり状態だったり介護が必要だったり、中には痴呆症のためそこがどこなのかを理解していない人などが多くいました。
実家から離れていたので月に1~2回程度の訪問でしかなかったですが、当時小学生だった私にとっては暗く寂しいイメージしかなく、大好きな祖父母だったにも関わらず、会いに行くことが怖かった覚えがあります。
しかし最近の老人ホームはそのイメージをがらりと変え、介護の状態の有無によっては高齢者用の住宅といった表現の方が適切ともいえるものへと変化しました。
例えば介護がさほど必要でないならば生活に関する相談やサービスなどを付けた高齢者向け住宅があります。
こちらはある程度、自分自身の身の回りのことは出来、自立が出来ているが生活において支援や介護が必要な場合に利用することが出来ます。
部屋は個室になっているいるため家族との面会や友人との交流を自由に楽しむことが出来ます。
しかし住み始めてから介護がより必要になった時には転居をする可能性があったり、主に民間企業が運営しているため利用する費用が施設によっては高額になる場合もあるので、費用も含めた入居後のライフプランの様なものがある程度、必要になるかもしれません。
次に程度にもよりますが介護が必要な場合は介護を含めた食事や入浴、清掃、リハビリなど施設で働くスタッフによるサービスを受けられる介護付き有料老人ホームがあります。
こちらは高齢者向け住宅と同様に基本的には個室が用意されており、ある程度自立した生活を送ることが出来るが介護や支援が必要な場合も利用することが出来、より介護の手を必要とする人も利用することが出来ます。
そのため住み始めてから介護の状態が深刻になってからもそのまま住み続けることが可能になっているため、高齢者向け住宅の様に、介護が深刻になった後の心配をする必要はありません。
しかしこちらも主に民間企業が運営しているため費用が高額になりがちです。
そのため利用したいと考えているのであれば、まずは資料請求をするとともにどれくらいの資産が必要になるかを計算することも重要です。
そして重度の介護を必要とし長期間入居することの出来る施設として特別養護老人ホームがあります。
こちらは地方公共団体や社会福祉法人が運営しているため費用を少なくすることが出来るため、利用者の負担を大幅に減らすことが出来ます。
しかし利用するためには要介護3以上という条件が付きますし、相部屋のためプライバシーが守られにくい状態といえども費用の軽減から人気が高く待機者が多いとされています。
そのため利用するために申請をしてもすぐに入居できるとは限らず、場合によっては数カ月以上を待つこともあります。
出典元:中井老人ホーム 富士白苑
今は元気なシニア世代が多いため、老人と名前が付くところを利用することを避けるケースも目にします。
確かに高齢者向け住宅などはそのような自立した生活を出来る人にも人気があり、今まで住み慣れた家を売却し、入居費用に利用する人も多くいます。
しかしその場合に真っ先に考える必要があることは費用です。
長く住み続ければそれだけ費用が必要になるため、65歳で入居すれば20~30年を過ごすことも考えられます。
そのため年金だけで費用を賄うことが出来るのか、出来ない場合は月にいくらほど必要なのか、10年ではいくら必要なのか、20年を過ごした場合の総額はいくらなのかを計算し用意しておくことも必要です。
仮に用意できない場合は、自身の子どもに費用の負担をお願いしたり、月額の利用費の安い施設を探し再計算をしてみる必要もあります。
人間は必ず歳をとりますし、それによる衰えを止めることは難しいです。
そのため介護は避けることが出来ません。
自分の子どもに介護という負担をかけることが嫌で老人ホームを利用したい、と考えることは不思議ではありませんが、それにかかる費用も避けることは出来ません。
そのためまずは自身の子どもを含めて相談することが大切です。
そしてこのような施設を利用することは同居する家族や離れた家族の負担を減らすことでもあります。
実際、私のもう一人の祖母は平日はデイサービスを利用し夕方に帰宅する生活を送っていますが、同居している叔父は平日の昼間に祖母を預けることで安心して仕事が出来ると話していますし、私の母も専門の人に看てもらえる安心感があると話しています。
デイサービスの利用だけなので負担が少ないため、費用に関しては祖母の年金を利用しているそうです。
施設への入居は費用が高いため、自身で支払える内容で介護を付け、家族の負担を減らすことを選んだと話していました。
確かに24時日間の行き届いたサービスは家族としても安心できますが、費用の負担は祖母を支える家族にとっては重要課題でもあったため、その判断は良かったのだと思います。
介護と費用という課題をどの様に解決するかを家族で相談し、ベストな選択が出来るようにすることも大切なのです。